ショパコンの話題に触れるのは初めてかもしれない。
調律師として、見れば見るほどに何故か嫌な思い出しか蘇ってこないという謎のトラウマから解放されて、今回は別視点で余裕で見ることができています。
なんといってもメーカー競争ではシゲルカワイが頑張っていますね。スタインウェイ、ファツィオリも、なんとか面目を保っています。根本的に金額が全く違うのにすごいことです。もちろんフルコン、ショパコンスペシャルな1台と比べてはいけませんが、一般のモデルもとても弾きやすいですね。ヤマハの1次予選突破が1台というのは今回も残念です。
あと演奏者のレベルもそうですが、ピアノのコンディション、それに関わるメーカーや、業界の裏話などを聞いているとリアルすぎて素直に見ていられませんでしたが、裏方側からエンタメとして見るととても面白い。最高の1台を社運をかけて全力投球しているのですから、その辺のホールのピアノや一般のピアノと比べてあまりの違いに以前は落ち込んでしまったりしていました。
ピアノ好きな一般の方、立場だけ偉そうな人、少しかじった人、何も知らない、ましてやピアノも触ったことがない人までもが好き勝手批判したりすることも耐えきれませんでした。何よりも演奏より調律の素晴らしさや、調整の素晴らしさにも嫉妬してしまいまともに見られませんでした。
ところがですよ。この年齢になってやっとあの深みのある音、タッチの強弱に反応する響きや表現力、演奏者によって音に魂がきちんと宿るということ、現実に一般の現場ではそうそう出来ることではない次元だということ(もちろんどんなレベルにおいても存在はしますが)もわかってきたわけです。コンサートホールで提供される音というのは主に、極端な話一番優れているピアノのグレードで、その時の間だけ最高のサウンドを提供できれば良いわけですが、小規模なイベント会場、一般的なレッスン室や一般家庭ではそうは行きません。
春夏秋冬、強いタッチ、弱いタッチ、さまざまな使われ方、環境の大きな変化に耐えつつ、約一年経ったときにほぼいい感じで保たれているというのが理想なわけです、どっちがすごいとかいう問題ではなくて、これはまた別のノウハウが必要になってきます。我々が聞いている届けられた音というのは、提供される媒体や録音するマイキングも含めてはっきりいって別物です。
世の中なんでも一緒になってごっちゃになって感じてるということが多いわけです。それはそれ、これはこれと区別してやっとピアノ音楽を楽しめるようになってきたということです。なんだかんだ書きましたが、そんな感じで、余裕を持って楽しんで応援したいと思います。
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