2011年3月11日のこと


13年前の今日。あの日の事ははっきりと覚えています。あの日の1時半頃から調律の仕事でお伺いしましたが、おばあさん一人がお留守番で、少し離れた後ろでテレビを見ていらっしゃいました。おばあさんは黙ってテレビを見ていましたが、アナウンサーが大きな声で叫んでいたので、作業の手を止めてしばらく二人でテレビを見ていました。

空港の映像が流れていて、車が何台も水に流されているショッキングな映像を見て、ただ事ではないことを知りました。愛媛県西条市(旧東予市)の海岸の近くのお宅でしたが、愛媛でも津波が来るとか来ないとか、町内放送が流れていました。

次第にとんでもない状況だったことがわかり、ショッキングで、しばらくは何もする気がなくなるほどでした。こんな平和な暮らしをしていていいのだろうか?とも思っていましたが、決して忘れることはありません。遠く離れた場所ですが、自分が出来る事をするだけです。



最近のメインの道具は、14年前に作ったオリジナルの道具を使っています。これは、ヨーロッパ、アメリカでよく使われる調律法のテクニックに適したものを作るというコンセプトのもと友人に教えてもらったりいろんな意見なども参考にして木材も角材から仕入れて作りました。知り合いの木工所でドリルで穴を開けて、柄の部分は地道に棒状に削って作りました。当時盛んにこのブログで最高傑作などと呼んでいましたが、14年経って今言えるのは、これがオリジナルものとしては本当に最高傑作だったという事です。

調律時の操作性、音色、調律後のタッチなどのバランスが絶妙で、日本の伝統的な調律操作法でも、日本ではタブーなどと言われている調律操作法でもピアノに何度も魔法がかかり、訳あって離れたお客様もこの道具を使っていた場合「違う調律師に触ってもらったらピアノがボロボロになってしまったので元に戻してください」というケースが何件もありました。今は、もう作っていませんが、あの頃は激ハマりしてオリジナルチューニングハンマー(改造)を20本以上は作ったと思います。この子は今でもしょっちゅうメインの一本になります。

こういうものって、材質が割と肝な訳でして、もちろん使い方や、環境などの影響ありますが、当たり外れが存在してしまう楽器と同じで、なぜかとんでもなく良くなっていくものとそうでもないものがあるんですね。調律師はこの道具がないと何も出来ませんから、ただただ感謝です!


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