コロナ禍もようやく落ち着きを見せて来て、お客様のお宅でスピードチューニングを実施することが、なんだか味気なくつまらなくなってしまい、コロナ禍以前の様なゆっくりとした調律法(ハンマー操作)で調律したくなって来ていました。
そうすると、写真の様な道具の先についているチップというパーツを、以前のお気に入りに戻したくなったのです。久しぶりに戻して、本人としては、これだ!!と楽しんでひとまず午前中にお客様宅で調律していい音になったと勝手に自画自賛していたのですが、、、
お世話になっている楽器店のお店のピアノを午後から数台調律することになり、実施して終わった後に担当者さんに演奏してもらいましたところ、「何だか音が悪い!!」と思ってしまいました。担当の方も首を傾げています。「なんかいまいちですよね?」とこちらから声をかけました。「はい、なんか音がこもってます」音の抜けが極めて悪いのです。これあるあるなのですが、調律師が「最高だ!これはいいね!」と思っていた時って、意外と演奏者様、あるいは聴衆様には受けがよくないことがあるのです。演奏者様との弾き方との相性や、その時のピアノの状態などももちろんあります。
お試しで、元のチップに戻して1本だけ調律したところ「えっ全然違う!!」と音抜けが良くなってびっくりされていました。「そんなに違いますか?」わかっちゃいたけど私も人間ですから何だかちょっとショックだったりもします。だけど、何のために調律をするのかを考えると答えは決まっています。調律師のエゴ、独りよがり、思い込み、勘違い、などは良い仕事の妨げです。我々は日々、目の前のお客様のために調律をするのです。こんなことは何十年もの経験で学んだこと。
その後、元のチップにもどして調律実施しました。また、新たな音が聞こえたり、新しい操作法が見えて来ました。なんて奥が深いんだろう、奥が深すぎて楽しい!だから調律師はやめられない!と思った1日でした。
すると、とあるお客様から連絡がありました!「助けてください!今日新しく購入したピアノを調律してもらったんですが、モコモコと自分がすごく嫌いな音なんです!」まさにこのために起こった事例だと、笑ってしまいます。だから人生やめられない!ということだと思います。張り切って調律に挑むぞ〜!!
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