毎年調律した方がいいですか?

せっかく買った(もらった)ピアノも事情でいつかは弾かなくなってしまう、、、
そんなとき、弾かなくても調律って毎年しないといけないのですか?って良く聞かれます。

正直なところ、「当然です!!」と言いたい所ですが、全く(ほとんど)弾かないのでしたらピッチがどうのとかタッチや音色がどうのとかユニゾンがどうのとか明るい音だのしっとりとした音だのそんなことはどうでも良いことだと思います。(あ、将来考えたらピッチはどうでもいいとは言えないか)

何よりも重要なのは、「いつか誰かが使うことがあるのか」ということではないでしょうか?使う可能性があるなら状況に応じて定期的にするべきです。誰もピアノのある家 (場所)にいなくなり、誰も使わなくなるのでしたら、誰かに譲るか売却するのがいいと思いますが、なぜ、こんなにも使わない大きな邪魔になるものを大切にほったらかして(笑)保存するのでしょうか?ズバリ、誰かがいつか使う(弾く)かもしれないから処分するのは「もったいない」からです。

そうです。孫ができました、姪っ子が弾くようになりました、などの理由でもし誰かが使う時になってピアノの調律を調律師にお願いするとしましょう。その時には数年、あるいは何十年と経ってしまうこともあるでしょう。

1回見てもらっただけで元通りになるわけがないですよ!構造上やるべきことが多い。

何回も見てやっと使える状態になる楽器だと言うことを申し上げておきます。毎年メンテナンスが必要な楽器なのですから、それを放置しておいて一回だけお金かけても元通りにはなりません!断言します!

一番困るのは、何年、何十年ぶりの調律で「ああ、これからは毎年調律しないと行けないですね。ピアノがかわいそうでした、反省しています。来年からは毎年絶対にします!!来年もオネガイしますね♡」とニッコリ言われて、正直に信じて次の年も連絡すると「今年は結構です!」とぶっきらぼうに言われることです。ショックでしばらく立ち直れなくなります。

勿論こちらの伝え方に問題があることもあるでしょうけど、こんなことを何度も何度も体験して今があるのです(笑) 少し(数年)空いてもいいですから数回は本気で復活させませんか?と思ってしまいます。こんなこと書いてしまうと誤解を招くことがあるかと思いますが、その後実施していただいたお客様のことではございません。ピアノを使うのにかかわらず二度と調律をされない(たとえ他社でも)方のことです。

何が言いたいのかと言いますと(笑)
けっして怒ったり手抜きしたりしませんから調子のいいことや嘘はつかず、来年するつもりがなければするつもりがないと、事情があるなら事情があるとはっきりいっていただきたいのです。

今日のお客様ですが、きちんとこのことを理解していただきました。これから4年はほとんど弾く事がなくなってしまうのです。そう、冒頭の部分に戻りますが、弾くことはなくなるわけですから、ピアノが長持ちするようにと作業を切り替えることが出来るのです。つまり、調律の細かい響きのことを優先するよりも、とにかく金属部分が錆びたり、湿気にやられたりしないように、ピアノの寿命を考えたメンテナンスが実施出来るのです。「数年後に使う時のことを考えた調律」

その上で状況を見て毎年するか2年に一回にするか3年に一回にするか決めましょうと言うお話ができました。

限られた時間の中で調律を実施しています。毎年実施しているピアノとそうでないピアノとではやるべきことが変わってきます。勿論、雇われ調律師なら、何を言っている、どんなピアノでも、どんな状況でも全力で、手を抜かずに文句も言わずに奉仕しろ!お客様は神様だぞ〜!!と経営者側に言われるかもしれません。ある意味、何も分からない新人時代はそうでなくてはいけませんが、何をどうすればいいのかを知ってしまった今となってはやるべきことを全力でする仕事をやりたいのです。


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