良い調律?


良い調律とは何か?を改めて考えてみた。わかりやすく言えば、コンサートなどで聴衆がいるような環境で、音の立ち上がりの早い遠くに飛ぶ(届く)音、明るくて立体的な音。ということなどはよく言われて来たことであり、これまでずっと目指して来たことでもあります。

コンサートで、演奏者や聴衆から受けがいいと思われる様なことを意識しながら調律していた様な気もします。しかしそこには、コンサートグランドピアノという演奏会には最高だと思われる楽器とホールの音響を前提で考えているわけですが、実際は、グランド、アップライトピアノにかかわらず、普通のお部屋での仕事が多いわけです。

一番の問題点は、そのような調律だと悪いピアノはより悪く、下手な演奏はより下手に聴こえてしまうことが多いように思えてならないのです(毒舌ですみません)。素晴らしい効果を発揮する反面、演奏者にちょっとしたプレッシャーや負担をかけていることもあります。

コンサートホールとは程遠い6畳くらいの部屋で、立体的なキラキラと遠くに届く様な音は、果たしていい調律と言えるのかどうか...?

「あなたの20代前半の頃の最高に良かった暗い響きにして下さい!」と10年近く前だった思うのですが、言われたことがあります。その頃はコンサートなど全く意識して調律をしていませんでしたし、今と使っている道具もやり方も目指す方向性も全く違っていました。

今、過去に戻ると言うのではなく、もう少し「今の大人の音」というべきものを、もう一度勉強してみようと思っています。暗い音は基本的にあまり好みではないですし、キッチリカッチリ生真面目な調律をするのも正直、不得意です。

意図的なルーズさが、倍音を増やし、キラキラと劇的な変化をもたらし、「あっと驚くインパクトのある響き」を生み出してきました。今年はそこから少し離れて、もう少し「深み」や「温かさ」という様な「奥の深さ」を加えていきたいと思っています。

実は、26年かかってやっとそれが実践出来る環境(状態)が整った(体験した)のです。これから地道にがんばります...

コメント

  1. 平凡@あがき2014年1月24日 23:06

    「いぶし銀」ってヤツですね?
    次回の勉強会でやりましょう!

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  2. いいですね...
    ボストンDNAもよろしく^^

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  3. あ、スタインウェイDNAでした...^^

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