グランドにしかない調整


梅雨のこの時期、音色がこもってくることが多く、調律、調整のご依頼が多くなってきます。グランドピアノにはアップライトにない調整がたくさんあります。そして、アップライトよりも音色のコントロールがしやすいということは、音色の変化にも気がつきやすい。つまり、グランドピアノのお仕事が多くなってしまうのですが、結局、コンクールの時期だというのも大きいことに最近気がつきました。(遅いって?)

それはともかく、課題曲を練習していても、以前は鳴りっぷりが良かったのに、最近急に鳴りが悪く感じると言ったことも増えてくるわけです。これは湿気の影響による部分が大きいことでもあります。劇的に音色とタッチ感が変えることが出来るグランドにしかない調整は必須な時期です。



しかし、音の安定感という意味では、実はピアノによってかなりバラツキもあってこれはもちろん環境によるものも大きいと思います。バッチリ安定しているピアノもあるかと思えば、急に調子が悪くなって来たという風に極端な傾向にあるようにも感じます。梅雨時期に調律した方が良い環境も結構あります。

新しい調律法を始めてかれこれ4年目にもなりますが、完全に自分のものに出来たかな〜と思うのがここ1年くらいのことです。今はほとんど意識しないで以前とのやり方と使い分けたり、自分自身が最良と思う選択をしたり、お客様のご希望の音色、タッチ感、弾き心地、強弱の好みなどに合わせて、新旧の調律法メリットの部分をミックスしたりすることが出来ています。

やはり、「石の上にも三年」一から調律をやり直した部分があるのですから、何事も習得するのはそう簡単ではないということだと思います。いいと思って(信じて)やってることでも期待はずれに終わったり、やりすぎて悪い結果が出たことも正直あります。これもすべて自己責任なのが個人の調律師の宿命。変わることへの恐怖よりも、可能性を信じて、すべて受け入れる覚悟の上で、挑戦しています。

特に何種類かの道具が使いこなせるようになったこの一年は、道具や調律法が原因の調律後の破綻がほとんどないことで、何より大きな自信になり、次のテーマに移ることが出来ます。勿論調律師にとって「調律」は永遠のテーマなのでいつまでたっても終わることはないのですが、、、

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