類友

同業者しかピンと来ないかもしれないような内容ですが、ご了承くださいませ。

先日は凄いお客様のお仕事が急に舞い込んできました。国産のアップライトですが、お隣の市から持ってこられました。かなり弾かれる娘さんのマンションです。でも、管理されているわけではないので前回誰が調律していたのかわかりませんでしたが、今までに聞いた事のないような響きでした。

タッチ変更のかなり無理難題なご要望があり、時間も限られている事と、調律はそんなに乱れていない事もあって、前任者さんの調律をベースに狂った箇所をドイツの道具を使って日本の方式の調律で修正する事にしました。

しかし、ここに大きな落とし穴が、、、。さっそくクレームの電話がありました。今度は、お母様も来られていました。なんと、ご自宅にはドイツのメーカーのグランドピアノをお持ちとの事。そこからアップライトだけ今回移動と調律依頼がありました。

そして、特約店制度のある自宅のドイツのグランドピアノは他県で購入されて他県の方が調律に来ていたので、アップライトも全く弾かないけどその人が調律していたというわけであります。どうりで聞いた事のない響きなわけだ。(アレは実施していなかった)

反省点と結論としては、「時間がなくても、迷ったら自分の最高の魔法を自信を持ってかけるべし」という事を学びました。フリーの調律師の生きる道と醍醐味はここにあるというのに・・・。

クレーム内容を簡単に説明しますと、微妙な音色のバラツキと、音の立ち上がりの遅さが気になると言うもの。(実際は、こんな簡単な言葉で説明出来ない超ディープな領域でした)タッチ変更の後遺症プラス、普段からドイツのピアノで練習していたのですからこの国産アップライトでは音がぼやけて物足りないのも当然ではあります。

そして、中途半端に違う調律師の音が混ざっているわけですし、本人はものすごく弾きにくいというわけであります。この辺りは分る人は一発で分る事だし、分らない人は全く気にならない領域の問題です。気になる人には耐えきれないような大問題でしょう。

結局アメリカの道具を使い、ドイツ/アメリカ式というやつで、すべての調律をもう一度やり直しました。あ〜あ、こんなことなら最初からしとけば良かったというお話です。

良い勉強になりました。

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