楽器の王様


同じ部屋にあるGP,UPの2台のピアノの調律でした。

2台のピアノは調律しても2台ともぴったりは合いません。厳密には少しずれてしまいます。全く同じメーカーの同じ機種なら比較的合わせやすいです。本来、設計上は合うはずなのですが、製造過程で誤差ができてしまいぴったりとは合わないわけですから、ましてやグランドとアップライトでは設計も違い、なおさら合わないのです。

中音部分に関してはほとんどいい感じで合いますが、ピアノという楽器の圧倒的な音域の広さが原因で、高音域や低音域はただ何も考えずに調律すると結構な誤差が生じます。これだけ音域の広い楽器はオーケストラ(こちらは複数の楽器の集合体)以外にはないのです。ですから、どんなジャンルも一つの楽器でこなすことが出来る「楽器の王様」だというわけです。


じゃあ、どうするの?

メインを決めてサブをそれに合わせたり、チューナーを使ったり、ホールなら2台鍵盤を並べて、実際に同じ音を同時にならして確認しますが、一般家庭ではそうはいきません。これも調律師によっていろんなノウハウがあり、企業秘密の部分です。そうはいっても、絶対に2台が合う事はないのですから、あとは妥協点をどこにするかと言った苦渋の作業があります。1台でも難しいですが、2台以上になるとさらに奥の深い世界が待っています。

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